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見えないものを見抜く力

心理カウンセラーは、
幅広く心理学を学び、それらを背景にクライアントに立ち向かう。
哲学を基盤にし、心理学で掘り下げながら、さまざまなアプローチを身に付ける。

「心理カウンセラーは、読心術を使えるのですか?」
時々、クライアントから受ける質問の一つだ。
それに関しては、
そうであるとも言えるし、そうでないとも言える。

私自身、カウンセラーとしての学びを本格的に始めて既に24年になる。
数知れぬカウンセリングを実施し、本当にたくさんの方々にお会いして来た。
この経験を、キャリアと呼ぶならば、それは私にとって確かな力となっている。
現場から学ぶ実践の力は、誤魔化しのきかないところで、実力を高めてくれる。

私は本来、美術業界に身を置いて生活し、成長して来た経緯を持つ。
取り分け古美術業界と呼ばれるものは、その真偽を常に問われ続ける。
「古美術品が何時何処で造られたものかなんて、本当に分かるのですか?」
…この問いかけに対しても、
もちろん分かります、とも言えるし、分からないものもあります、とも応える。

それがどのようなものであれ、どのような分野であれ、
完璧に分かりきることなんて、その究極を問い詰めれば、所詮『無理!』
に、決まっている。
しかし、・・・しかし、なのだ。
これが、あるところまでは分かるのだ。
だからこそ、専門職の人が鑑定すれば、同一見解が出ることとなる。
それこそが、そのことを専門職としている者の決め手であり、強みだとも言えよう。

見えないものを見抜く力は、何処で養われるのか?

これも、ひとえに、その人個人の内側に於いて以外にない。

その個人の弛まぬ謙虚な学びの姿勢と、卑しみのない、
純粋にひた向きに、その本質を知りたいと願う
対象に向けて畏敬の念を抱きつつ、
目の前のクライアントの人生に敬意を払う、
時空を超えて守り譲り受け継がれて来たその美術品に敬意を払う、
クライアントが自らの命をかけて生ききろうとする人生と、
何百年、何千年の時を超えて、寿命を持って今ここに存在する美術品は、
私にとっては、なんら変わらない。

自分の仕事が本当に好きか?
自分の仕事を愛し、惚れ込んでいるか?
自分の関わるその仕事に、使命感を持ち誇りを抱けるか?

『他人(ヒト)は、騙せても、自分は騙せない!』

いかに誠実に事に当たろうとも、到らぬことは多々ある。
幾つになっても不出来な己の未熟さは、自分自身が何より重々承知の上ながら、
それだからこそ、自分の心に恥じることなく、
決して故意に悪事を働くことなく、
見えないとされる物を見抜く力を、今より少しでもこの身に付けるべく
努力精進してきたい。と、いつもいつも願っている。
それこそが、私の生きる道だと信じている。


HCC:眞美子
by h-c-c | 2013-05-29 20:21
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