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心のケアが商品化される時代にあって考えること

資格取得に挑戦する人が増えている。
資格は実力ではない。
資格取得は、スタートにすぎないと私としては考えている。
「心のケア」「心の専門家」…って、何だ?

「物」から「心」へ。
かつて日本人総中流家庭に成ったとばかりに、
物質的にある程度の満たされ感を味わったこの国に於いて、
声高に云われ始めたのは、たかだか2-30年ほど前のことだ。
登校拒否、不登校、いじめ問題等は、
主に子どもたちを中心として学校から発信された。
学校内でのいじめ問題は、文科省(当時文部省)、教育関係者、警察など、
頭でっかちなお偉い方々が雁首並べてさまざまに試みてはみたものの
事態は深刻化し、現在の日本が抱える問題の一つ、
中高年(30-40歳代)の引きこもりを生み出している。

甚だ無礼を承知の上で申しあげるとするならば、大学院を出たところで、
臨床心理士の資格を手にしたくらいで、
生身の人間の、しかも手ごわいクライアントの相手は、
そうそう易々とは出来っこない。
それが証拠に、大学院終了程度の資格で、スクールカウンセラーになった
自分自身の「自己確立」も未熟な年代では、
モンスターと呼ばれる父母たちの激しいパワーにはとてもではないが
太刀打ちできず、結果として、カウンセラーの方が泣きを上げ、
パニック障害や、鬱的症状を見せるようにさえなった歴然とした事実がある。

芸術家しかり、先生しかり、呼び名じゃない。
肩書きや資格じゃない。
そんなものに頼ったり惑わされたりしているから本質を見失うのだ。
実力を鍛えて鍛えて鍛え抜け。

それぞれの分野の「職人」を目指す。
それぞれの世界には、それぞれに特徴的な鍛え方、育ち方がある。
カウンセラーは、他者以前に、
自己探究によって、
「自分」と「自分の人生」との関係性を理解、把握、受容することが
大事であろうと考えている。

心の専門家と呼ばれる職業(?)的なものが、
短期間でいともた易く取得できる今の時代は、
別の意味で、また新たな問題を生みだす土壌となっているように見える。


by h-c-c | 2016-04-03 22:15
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